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具体的に行動を指示していますか?

ポスティングされていた近所の美容室のチラシ。

 

B5サイズの両面には、ご挨拶やメニュー、値段、お店の場所、電話番号が書かれています。

 

美容室のチラシらしく、シンプルでおしゃれな雰囲気です。

 

しかし、私の自宅から駅までの約700mの間に美容室はなんと7軒。つまり、約100mに1軒の割合で美容室がある激戦区なのです。

 

そのような環境下で経営している美容院にしては、チラシの押しがずいぶん弱いと思いました。

 

「弱い」と感じた要因として、「チラシを読んだ人はどうしたらいいのか?」ということが書かれていないのです。

 

おそらく予約の電話に結びつけたいのだと思いますが、それならば、電話番号の横に「今すぐお電話ください!!」とチラシを見た人を急かすぐらいでもいいのではないかと思いました。

 

また、チラシは読んでもらうほど反応率は高くなるので、裏面も読んでもらうための一言を入れることも重要です。

 

例えば、「○○○美容室の人生が変わるカットとは? 秘密は裏面へ→」でもいいでしょう。

 

少し大袈裟ですが、とにかくライバルが100mごとに1軒というほどひしめいているので、少しオーバーでもよいかと思います。

 

大事なことは、「裏面を読んでもらうように指示する」ことです。

 

その他にも、チラシにホームページのQRコードやURLを載せたのであれば、アクセスを促すために「もっと詳しい情報はホームページをご覧ください」とアクセスを指示する言葉を入れるのです。

 

QRコードやURLを書いておけば「分かってくれるだろう」とチラシを作っている方は思いがちですが、受け取り手はどのような状況で読んでいるかわかりません。

 

例えば、テレビを見ながらチラシを見ているかもしれないし、たくさんチラシがある中の1枚としてぼんやり見られているかもしれません。

 

チラシを1枚ずつ集中して読んでいる人はきっと少ないでしょう。

 

ほとんどの人が何かをしながら注意力散漫な状態でチラシを読んでいる、いや、眺めていると思います。

 

だからこそ、「どうしてほしいのか」つまり、「行動を指示」しなければわからないのです。

 

このことは、チラシだけでなく、ホームページや看板、パンフレット、ポップなど、何に対しても言えることなのです。

 

ホームページの場合は、「ここをクリック」、「下へスクロール」などと指示したり、看板の場合は、「お店の中へお入りください」、「お二階にいらっしゃい」などと記載します。

 

 

行動の指示

パンフレットでは「中を開いて商品を見てください」、ポップでは「商品を手に取って見てください」などです。

 

ちょっとしたことですが、これらの積み重ねで、少しずつ読み進めてもらうという作戦なのです。

 

次々と読んでもらいたくなるキャッチコピーや文章を書くのは至難の技ですが、要所要所で具体的な行動を促すための指示をすればよいのです。

 

「えっ、こんなことだけで」とお疑いになるかも知れませんが、意外と必要なのです。

 

「これなら出来そう!」と思っていただければ幸いです。

話がまとまらない! 勝手にチラシの内容をまとめてしまおう

HAT TOOL DESIGNでは、チラシを作成する際、お客様と打ち合わせをします。

 

例えば、

「キャッチコピーはこれを入れたい!」

「納品までの流れを入れたい!」

「お客様の声を入れたい!」

とチラシに載せる内容が予め決まっているお客様は、今までの経験上、ほとんどいません。

 

ご自身で「こういうことをしたい!」と分かっている方、ご自身でウリや強みをお話いただける方はよいのですが、中には話すのが苦手だったり、あらゆる内容を入れて欲しいといわんばかりに、「(言葉は悪いですが)とっ散らかって」まとまらない方がいらっしゃっいます。

 

おそらく、迷っていたり、混乱していると思うので、これ以上お話を聞いても言葉が出てこないと判断して、お客様には、「とりあえず私の方でまとめますね」と、打合せを終えることがあります。

 

チラシを作ることは、自分のセールスポイントをアピールすることだと思っています。

よって、苦手な方や慣れてない方はたくさんいらっしゃいます。

 

そのような方に、ご自身の強みやウリをお考えいただくのはずいぶん時間がかかってしまうでしょうし、厳しい意見かもしれませんが、時間をかけたところで、こちらが使いやすいような内容で出てくるのことは少ないかと思います。

 

打ち合わせで話がまとまらない場合、HAT TOOL DESIGNでは聞いた話しで勝手に内容を作ってしまいます。

 

例えを紹介します。

 

●四代続く石材店の場合

 

”初代から「自分と故人、ご先祖様の接点、それがお墓だ。だからこそお墓は気持ちを刻み込んで作るもの」と言い継がれてきました。”

 

実は、打ち合わせの際、この言葉は出てきませんでしたが、当然このような気持ちは受け継がれているだろうと想像したため、四代も脈々と受け継がれている石屋としての家系のポリシーを感じていただけるように作りました。

 

 

●マッサージ店の場合

 

「5つのこだわり」と勝手に見出しをつけ、細々した下記のサービスを1つにまとめました。

 

1.手足の末端からもみほぐし

2.お話しながらマッサージをすること(コミュニケーションを大事にしている)

3.マッサージが終わった後に生姜湯を出すこと

4.タオルは体に優しい国産の今治タオルを使用

5.施術後に体の状態を説明

 

ひとくくりにすることで、施術に来る患者さんへの気遣いが見えてきます。

 

 

●英語の授業内容を紹介する学習塾の場合

 

「英語を好きになる!」とキャッチコピーを勝手に作って「英語をまずは好きになるための授業」とコンセプトを打ち出し、

 

その1:楽しくネイティブと会話

その2:自分の上達を知るためのテスト

 

などと授業内容を紹介しました。

 

実のところ、好きになるかどうかは私にはわかりませんが、「好きこそ物の上手なれ」ということわざをイメージしてキャッチコピーをつけました。

 

HAT TOOL DESIGNでは、デザイン案を作成する前に記載内容を決めるための「構成案(仮デザイン)」を作ります。

 

デザイン構成案

この構成案を考える際に、打ち合わせで

・(石材店)初代はそんなことを言ったとは話してなかった

・(マッサージ店)5つのこだわりという話はしてなかった

・(学習塾)授業のコンセプトは「英語を好きになる」とは言ってなかった

 

など、「打ち合わせで言ってなかったことを勝手に書いてもいいのか」と躊躇することもあります。

 

それは全然構わず、大事なことはこの構成案が少しでも叩き台となり、お客様から修正の言葉を促したいという気持ちで提案します。

 

また、実際には言っていないのに言ったこととして書いてしまうとヤラセになってしまうのではと心配になるかと思いますが、この場合は、うまく表現できないお客様の気持ちを代弁しているだけだと思っています。

 

こうして提案した構成案は「そうそう、こういうことです! 気持ちを汲み取っていただいて嬉しい!」と大変喜んでいただきます。

 

また、勝手にまとめてしまうことはお客様より先手を打つことになりイニシアチブ(主導権)を取ることになるため、仕事が進めやすくなります。

 

お客様から「自分のことをよく理解してもらっている」と信頼度も高くなります。

 

お客様のちょっとした言葉からイメージを膨らませて内容をまとめていくのは時間がかかりますし、本来のデザイナーとしての役割よりも守備範囲は格段に広くなると思います。

 

しかし、それ以上に信頼が厚くなり、後々の仕事につながるのです。

 

フリーランスとして仕事を進めていく上で、この「勝手にまとめてしまう」という強引かつお節介がとても大切になってくるのです。

 

1から10まで言わなければ分かってくれない「指示待ちデザイナー」などと言われないためにも「勝手にまとめる」ことをぜひやってみてください。

急ぎの仕事の依頼

「急ぎの仕事」と言うと、「あー、嫌だ!」という声が聞こえてきそうですが、私も嫌です。

 

進行中の案件を後にまわしたり、はたまた、休みを返上したり、睡眠時間を削るなどして、急ぎの案件を優先することだってあります。

だから、嫌がられるんです。

 

この件に絡んで、以前、参加したビジネスの勉強会で話題にあがったお得意さんについての話を紹介します。

小売店での商売の内容だったのですが、デザイナーにも通ずるものでした。

 

どの方も、「お得意さん、常連さんほど、こちらの気持ちを察してくれる」と言います。

 

例えば、忙しい時には、黙って、手が空くまで待ってくれたり、他のお客様が割り込んでも、こちらが困らないように「私は急いでいないから大丈夫ですよ」と順番を譲ってくれるのだそうです。

本当に大事に優先すべきは、そのようなお得意さんなのです。

 

この話に、ハッとしました。

 

デザインの急ぎの案件の話に戻りますが、デザイナーの交流会の際に、「急ぎの案件は、どのように対応しているんですか?」と質問を受けたことがあります。

 

HAT TOOL DESIGNの場合、初めてのお客様で、急ぎ案件の相談をされる場合は、申し訳なく思いつつもお断りさせていただくようにしています。

 

今までの経験上、初めての取引にもかかわらず急ぎで依頼してくる方は、その後もずっと急ぎで頼まれることが多いですし、制作費も値切られることがよくあります。

 

少し話を聞くと、急ぎ案件になってしまう慢性的な理由が垣間見える時があります。

 

例えば、指示が曖昧でやり直しが多かったり、決定部門の判断が遅いので発注が遅れたり、土壇場になって制作費で揉めてしまい予定していたデザイナーに断られてピンチヒッターを探しているなどです。

 

もちろん会社に所属しているデザイナーは個人的に断ることはできない立場の方だと思うので一括りにはできませんが、私がHAT TOOL DESIGNを立ち上げる前に一人でやっていた時は、そのような急ぎの案件ばかりしか頼まれない時期があり、本当にその頃はよく値切られました。

 

いつも寝不足状態が続き、どんどん精神的に疲弊していきました。

 

ある日、起き上がれないほどのひどい腰痛になったことを機に、「世の中にはこんなお客様ばかりではない!」「きっと良いお客様はどこかにいるはずだ!」と思い、当時取引のあったほとんどのお客様との取引を思い切って解消したことがありました。

 

急ぎ案件に対応するのは、先ほども書きましたが、休みを返上したり、睡眠時間も削るなど体力が消耗します。

 

さらに誤字脱字、入稿データの不備などのミスも許されないため集中力も大切です。

 

しかし、馴染みのお客様で信頼関係を築いている方からの急ぎ案件であれば、大体は引き受けるようにしています。

 

それは「困っているのだろう」と思う人助けの心境もありますが、無理を聞いてあげるという「えこひいき」として引き受けても良いと思います。

 

ちなみに、デザイナーへの依頼は頻繁にあるものではありませんので、おまけを付けてあげるのも、割り引いてあげるのも良くないと思っています。

 

結局のところ、急ぎ案件の対応は時間や意識や体力を削って作ることになるので、極力、後々までお付き合いできるような

信頼できる本当のお客様への「えこひいき」という特別対応として取っておきたいものです。

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