デザイナーの役割が変化しつつある?

このブログ読者は、デザイナーの方が大勢いらっしゃいます。 

デザインだけを作成するという方、デザイナーでありながら時にはディレクターの役割も担う方もいらっしゃると思います。

 

HAT TOOL DESIGNは、デザインだけではなく、ディレクション業務など進行に関わる役割も担うことが多いです。

 

なぜ、ディレクター役も担っているのかご説明します。

会社では分担作業でデザインを制作します。

 

クライアントの要望を営業担当が聞く

営業からディレクターが聞く

ディレクターが方向性を考える

ディレクターが素材(写真、文章など)を集める

デザイナーにイメージを伝える

デザイナーがデザインする

ディレクターがOKする

クライアントに納品

 

クライアントや営業の要望を聞いたディレクターのイメージを、最後の最後にまとめる役割がデザイナーです。

 

これは、よい面もあれば、悪い面もあると思っています。

 

ディレクターが、デザインを考えることに加えて、打ち合わせや細々とした雑務もこなしてくれるため、デザイナーはデザイン業務に専念できます。

 

しかし、クライアントの要望を人づてに聞くことになってしまうので

・クライアントが人に伝える能力

・ディレクターの聞き取り能力

・ディレクターの人に伝える能力

・デザイナーの聞き取り能力

といった何段階にもわたるクッションが生じます。

その結果、方向性がねじれて伝わり、確認作業の連続で制作と修正に時間が掛かることも多々あります。

 

HAT TOOL DESIGNの場合は、直接クライアントから要望を聞いてデザインをするので、必然的にディレクターの役割も担当するしかありません。

そのおかげで、比較的早く完了できます。

 

今回、なぜこのような記事を書いているかというと、先日、家事代行の会社と三つ折りリーフレット作成の打ち合わせをした時のことです。

 

打ち合わせは、50代後半のご夫婦二人。代表の奥様とサポート役で旦那さんも同席。

 

そこで奥様が「以前に、リーフレットを作った時、デザイナーとの間に広告代理店が入って思い通りに伝わらなくて大変だった」とおっしゃるのです。

 

かつて私もデザイナーの立場として、クライアントとの間に営業担当や広告代理店がいたため、意思の疎通が上手くいかない経験を何度もしているので、よく分かります。

 

話が少し途切れたところで旦那さんが、「松田さんは、デザイナーさんですが、文章なども書いたりするのですか?」と、質問がありました。

 

私は「そうです。クライアントから届いた原稿を直したり、時にはキャッチコピーも書きます。でも、しっかり読ませるための、文章はライターにお願いします」と答えると、「私の知っているデザイナーはデザインだけを作るのですが、珍しいですね」というお答え。

 

それを聞いて私は「そういう方もいらっしゃいますが、デザイナーはディレクターやアートディレクターの役割も担うこともあります。

デザインの方向性を決めるのはもちろんのこと、ちょっとした文章を書いたり、会社のブランドを作ったり、集客の戦略を練ったり、時には経営コンサルタントの役割をすることだってあります。

 

クライアントさんとの間に誰かが入ると意思疎通がしにくく、時間もかかってしまい、自分がやった方が早いことが多くあったので、私の場合は色々やるようになりました。

 

また。今はネットの時代。遠方でもクライアントさんの方から直接デザイナーへ問い合わせがあります…」

と説明しました。

 

すると、旦那さんの顔が徐々にこわばりだし、「実は小さい会社ながら、私は出版関係の会社をやっていて、広告代理店業やコンサルタント業もやっているんです」とのこと。

 

旦那さんの職業が邪魔者のように受け取られたのかなと気になったのですが、奥様が

「以前、夫と知り合いのデザイナーに頼んだら思っているのと全然違うものができちゃたの」とのこと。

 

ちなみに「全然違うものができた」という家事代行を宣伝するリーフレットを見せてもらうと、綺麗な写真と業務内容だけの、正直なところ私の心にはひびかないデザインでした。

 

かつて芸能人宅の留守中に上がり込み、窃盗をした家事代行が大々的にニュースになったことがありましたが、家事代行は鍵を預かって他人のお宅に上がり込んでサービスをおこなう仕事です。

とてもプライベートな空間にお邪魔するわけなので、信用してもらうための仕掛けが必要です。

 

そういう不安材料を打ち消す要素、安心してもらえる仕組みが、前述のリーフレットでははっきり言って薄いと感じました。

 

結局、打ち合わせの後、奥様から「デザイナーなのに料金が高いといって旦那が譲らないのでキャンセルしたい」とお断りのご連絡がありました。

 

それは致し方ないこととして、今回の件、世代のギャップを感じたように思います。

 

かつて、デザイナーはクライアントにも会わずに、ディレクターの要望だけを職人的に

こなしていればよかったのです。

その分業制の立場が楽だった時代がありました。

 

しかし、今では、クライアントがインターネットを使って、デザイナーを探して直接依頼してくる人もいます。

 

従来のようにデザイナーがデザインだけを作る時代から変わりつつあるのかもしれません。

 

 

 

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