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打ち合わせで掘り下げる質問のポイント

依頼主との打ち合わせで、何を深掘りすればよいと思いますか?

例えばチラシを作成するなら、大前提としてその店が提供しているサービスや商品を作り手である私自身が「いいな」と思わなければ、チラシは作れません。よって、打ち合わせでは私は「このサービス(商品)はいい」と思えるまでとことん質問をします。

ちなみに、私が「いい」と思える基準は、「自分がサービスを受けてみたい」「この商品が欲しい」「家族や友達に紹介したい」ということです。

「安心できる材料」があればあるほど、自分でもそのサービスを受けてみたい、また商品を購入したいと思えるし、人にも紹介しやすくなるもの。

だからこそ、サービスの場合でいうと、安心できる材料が一番詰まっている「サービスの流れ」を聞くことだと私は思います。細かく、流れ通りに一つずつ順番に掘り下げていくのです。

そうすることで、サービスを受けるお客様が安心できるプロとしての工夫や気遣いが数多く含まれていることが浮き彫りになるはず。

例えば、まつ毛エクステンションのサロンの場合、施術前のカウンセリングが売りだと依頼主自身が言っても、「なぜ?」「どんなところが?」とカウンセリングの意義を納得できるまで、繰り返し質問します。

素人の私では考え及ばないプロフェッショナルな心意気が見え、そこに感動することがよくあるのです。

そして、打ち合わせで大事なことは「知ったかぶりをしない」こと。

よって、事前の下調べをやりすぎると自分の頭の中で勝手に解決してしまうので、あまり調べずに、素朴な疑問を思いつくまま投げかけるのです。

これによって、質問された側も答えているうちに思いもよらなかった言葉が出てきます。毎日何気なく習慣的に行なっていたことが特別なことだと自分自身で気付きます。

これは、打ち合わせで掘り下げに成功した事例ですが、こんなことばかりではありません。

中には、「そこまで言わなければならないのか」と信用していただけない方やめんどくさいと思われて答えたがらない方、答えられない方もいらっしゃいます。

これは打ち合わせでの言葉じりや表情などで分かります。そんなときは仕方がありません。

よさがわからなければチラシは作れないと書きましたが、もちろん、筆は進まないながらも何とか作り上げます。

ただ、質問を繰り返し、次々に掘り下げていった方と比べて、情報量も少なく、伝わってくる熱量も違うのでアイデアはあまり出ません。

掘り下げを拒む方は、仕上がりにも影響するので、もったいないといつも思います。

自分と他人の当たり前は違う

以前、まつ毛エクステンションサロンのオーナーと店長がホームページなどのご相談に来られたことがありました。

そもそも、まつ毛エクステンション(通称まつエク)とはどんなものかご存知ですか?

簡単に言うと、まつ毛の増毛のようなもので、まつ毛1本ずつに人工のまつ毛を装着していくのです。

相談に来られた店舗はサロン激戦地にあるわけではありませんが、それでも駅前や近所のショッピングモールにライバル店が34件はあるとのこと。

そのサロンの強みは、他所よりも5001000円ほど安いことです。また、駅から歩いて3分ほどの距離で、内装も広々とし、ゆったりしておしゃれ。

店長は、以前、勤めていたお店では指名のお客様が大勢いて、No.1のアイデザイナーだったようで、まつエクの施術の腕はよいのだと思います。

とはいえ、私のようなまつエク初心者にとっては、目を触られること自体がすごく怖いことなのです。

また、安価だとかえって、衛生面がおざなりになっていないかと不安にもなります。

以前のお店でNo.1のアイデザイナーだとしても、それを売りにホームページやチラシなどに書く訳にはいきません。

店長ご本人に強みを聞いても、考え込んでしまい、「技術には自信があって、丁寧なカウンセリングです。しかし、アイデザイナーなら当たり前のことだと思うんですが」とのこと。

「その他は、これと言って特にない」という返事。

確かに、「技術に自信あり」「丁寧なカウンセリング」は、まつエク業界に限らず、他の業界でも共通している、聞き慣れた簡単な言葉です。

とはいえ、以前のお店ではNo.1なのですから、 これを裏付けるものがこの言葉の中にあるのではないかと思います。

おそらくそこが「強み」や「売り」なはず。

よって、これについて深掘りをしてみました。

「技術に自信がある」とはどういうことかと尋ねると、店長からは「手早く仕上げること」だという答えが返ってきました。

それは、お客様の時間の都合に合わせることでもありますが、何よりも「目に負担をかけない」ことが一番だそう。

「目に負担をかけない」ために、まつ毛を取り付ける際に使用するグルーという接着剤は、様々な種類のなかから2種類を用意して、肌に合うものを選び、パッチテストも行なっています。

価格が安いといっても、お客様への健康を考えた安心への気遣いが見えてきました。

また「丁寧なカウンセリング」については、お客様の好みや要望、目の形や顔の印象、はたまた目の病気などを丁寧にカウンセリングをするのだろうと、素人の私は思っていましたが、それだけではないようです。

実は「持ちがいい(長持ち)」に関係があるのです。

まつ毛の取り付けは、生えてきたばかりの細いまつ毛やもうすぐ抜け落ちるまつ毛に取り付けても、すぐに抜け落ちてしまうので、成長期のまつ毛に付けるのが鉄則とのこと。

「持ちをよくする」ためには、「取り付けるべきではないまつ毛に装着しない」ことが大切なのです。

このサロンの店長は、カウンセリングでお客様のまつ毛の状態を聞き取り、施術でまつ毛を見極めて取り付けていきます。

質問で掘り下げていくうちに、当初は、まつエクなるものにそれほど興味がなかったのですが、この店長が、急にプロフェッショナルに見えてきました。

「マツエクをやってみてもいいかも。やるなら店長にぜひお願いしたい」と思うようになったのでした。

ご本人の「当たり前」の中には、素人から見るとプロフェッショナルな考え抜かれたこだわりがたくさん詰まっています。

差の付くデザイナーとしては、その気付いていない「当たり前」を掘り起こし、少しでも質問を重ね、聞き上手になれれば、お客様自身も気付いていなかった部分を提案してあげることができます。

それだけで、他のデザイナーとは差がつく、「強み」になるのではないでしょうか。

お客様の声を載せるということ

チラシやホームページからの問い合わせを増やす方法として、いくつかのコツがあります。

問い合わせを増やすには、まず見た人に「信用」していただくことが大事になのですが、そのために代表的なコツは

・顔写真

・お客様の声

・値段

・よくある質問

などを載せることです。

今まで何度かこのブログで顔写真について取り上げていますが、HAT TOOL DESIGNでお客様のチラシなどを作成する時に顔写真と同じぐらい、載せることに難色を示されることが多いのが「お客様の声」です。

難色を示される理由はなんとなく想像がつきます。難色を示される方を見て思うのが「お客様に頼んで、声をもらうことができない」ということなのです。

確かに、お客様から頼まれることはあっても、こちらから何かを頼むのは「厚かましい」「めんどくさい」などと思われたらどうしようかと、気が引ける気持ちはよく分かります。

HAT TOOL DESIGNのホームページにもお客様の声を載せていますが、最初にお客様に依頼する時には、頼んでいいものかどうかとても迷いました。

https://www.hattool.com/category/voice

比較的仲のよいお客様に、おそるおそる勇気を出して頼んでみると、実にあっさりと引き受けていただき、拍子抜けしたものでした。

1人、2人、3人とお客様に頼むごとに、当初に抱いていた気の引けめは次第に弱まり、自分自身の意識が変わってきた感じがします。

お客様に声を依頼するコツは、仲がよかったり、言いやすいお客様にまずは頼むことだと思いますが、起業して月日が経たない店舗でも「1週間待ってください!お客様からコメントを取ってきますので」と言って、5件ほど顔写真とともに集めていただいたこともありました。

一方、長くそのご職業についているベテランの方でも「う~ん」と難色を示す方や「それほどお客様と仲良くなっていない」と、おっしゃる方もいます。

中には、載せることができない職業もありますが、それは別として、店主とお客様との関係性や思い、これから作ろうとしている販促物(チラシ、ホームページなど)の制作に取り組む本気度合い、経営に対する覚悟などが一気に透けて見える瞬間です。

10人、20人の声が必要というわけではありません。1人でも、2~3人でも構わないのです。要は0でなければよいのです。

「たかがお客様の声でしょ」とお思いになるかもしれません。

しかし、お客様の声を販促物に載せるとお店の「信用」に繋がるのは、そういった覚悟が表ににじみ出て、見た人にも伝わるのだと思います。

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