作る前に読んで欲しいデザイン術最新記事

どのようにすれば、ホームページを訪れてもらえるか

今回は集客寄りの内容をお届けします。

先日、お客様からご自身の会社のホームページ作成の相談がありました。

1〜2ページ程度の簡単なホームページを作って欲しいとのこと。

「簡単なホームページとは?」と思いながら、話を聞きました。

自身のビジネスを紹介するためのホームページなので、箇条書きのプロフィールと業務内容だけでよいとのこと。

「ペライチ」という無料でホームページが作成できるサービスを使って、ご自身で作ることを提案しましたが、挑戦した結果、難しかったので止めてしまったそうです。

仮に、その1〜2ページのホームページを私が作成したとしても、Google検索で上位表示するのは無理でしょう。

なぜなら、今はGoogleが検索順位を決める基準は、文字数が5,000文字以上の役に立つ情報が載っているページを優先して表示するアルゴリズムになっているからです。

そんな中で、1〜2ページしかないホームページは上位表示どころか、検索結果として表示されるかどうかのレベルでしょう。

ということで、1〜2ページのホームページを作るなら、SNSやチラシ、名刺などにURLを載せてアクセスを誘導することをお話ししました。

しかし、その誘導先(受け皿)がないのです。

仮に、SNSのリンクやチラシに記載されたURLをたどって訪問したり、何かの拍子に検索でヒットして見込み客がホームページに訪れたとしても、箇条書きのプロフィールと業務内容を載せただけのホームページを見て、果たして「問い合わせ」に繋がるのでしょうか。

このお客様のことをよく知っている人やその人からの紹介であれば、1〜2ページのホームページでもよいでしょうが、どうやら、新規客も獲得したいとのこと。

今、ホームページを作るときには「検索〜アクセス〜問い合わせ」までの導線と「SNSを使って広める」ことを踏まえて作る必要があります。

それらを考えなければ、せっかくホームページに来てもらっても、欲しかった情報と違っていれば、すぐ他のページに飛んでしまい、肝心な「お問い合わせ」には繋がりません。

そうならないためにも、検索キーワードに見合った情報をしっかり載せておきましょう。

このような導線を考えずに作成してしまうと、残念ながら役立たずのホームページになってしまいます。

ということで、HAT TOOL DESIGNで1〜2ページのホームページは作成できない旨を伝え、一旦断りました。

しかし、「もう少し予算を掛けて作成したい」とホームページ作成見積もりを出し直しましたが、依頼まで進むでしょうか。

 

購入客や利用客は失敗しないために、絶えず比較検討しているので、素早くピンポイントな情報を得ることを欲しています。

その「比較検討の土俵」に乗ることができるホームページを作ることが大切だと、強く思います。

 

詳細の書き過ぎに注意

HAT TOOL DESIGNのホームページには、「打ち合わせ〜納品までの流れ」を記載しています。

流れは1〜8工程あり、見出しを下記のように打ち出しています。

1.お打ち合わせ
2.デザインの構成(仮デザイン)をご提案
3.お支払い
4.デザインをご提案
5.デザインの修正
6.デザインの確定
7.印刷
8.納品

今でこそ、「お支払い」をしてもらってからデザインの提案をしますが、以前、とあるトラブルに遭うまでは「お支払い」はデザインを作った後、印刷をする前の7番目の作業でした。

そのトラブルとは、士業の方から依頼を受け、デザインを作ったものの、支払われないというもの。

デザインの依頼を受ける前に、しっかり承諾書に署名を書いてもらっていたので、支払われないとなってしまったとき、こちらの言い分が通ると思っていました。

弁護士に間に入ってもらいましたが、相手も一歩も譲りません。

先方は法律に詳しい士業の方だったので、結局はこちらが精神的に疲弊し、泣き寝入りしました。法律に詳しい士業の方なので信頼していたので余計に驚きました。

もう、これが悔しくてたまりませんでした。

だからこそ、もう二度とこのような人から依頼はされたくないと強く思い、ホームページに、数々の禁止事項を載せることにしました。

例えば、裁判となった場合は、HAT TOOL DESIGN事務所が所在する東京地方裁判所にておこなうこと、デザインを作成した後の途中キャンセルはキャンセル代として何%かを支払ってもらうこと、こちらからお断りする業種のこと。

すると、問い合わせがピタリと止まり、アクセス解析をみると、ホームページの滞在時間が激減していました。

そりゃそうです。

トラブルでかなり嫌な目に遭ったのだろうというネガティブな雰囲気がにじみ出て、何よりも、暗く、面倒だと思われたようです。当然、このようなところには頼みたくないでしょう。

ということで、早々に禁止事項をホームページから削除し、支払いを「後払い」から「前払い」に変更しました。

前払いといっても、全額ではなく、「制作費の半額を前払い」「残りは印刷する前にお支払い」という流れを表記しました。

それでも、問い合わせページへのアクセス数は上がらないので、問い合わせもありません。

「半額」がよくないのかと思い、「制作費の30%を前払い」と金額を下げましたが、
それでも状況は変わりません。

思い切って、「お支払い」とだけ書く、あっさりした見出しにし、その後の説明もシンプルにしました。

詳細の書き過ぎに注意

 

すると、問い合わせが戻ってきたのでした。

結局、全額を支払ってもらうことに落ち着きました。

こちらは依頼するハードルを下げるためによかれと思って、半額や30%を「お支払い」と決めましたが、それがかえって、「複雑=ややこしい」と思われたのです。

おそらく、1から順番に読んでいくと、「お支払い」の項目で読む流れが止まってしまい、それ以上は、面倒になり、読み進められなかったのだろうと想像しました。

「文字量が多いと読まれない」という定説のようなものがありますが、この場合、文字量は変わっていないのですが、言葉を単純明快にすることの大事さを痛感したのでした。

思い込みだけで作るデザインのズレ

先日、医療関係の商品をクリニックに卸している会社へリーフレット作成の打ち合わせに行ってきました。

リーフレットの内容は、ある医療機器を紹介するもので、クリニックの受付に置いて患者に持ち帰ってもらうことを想定しています。ここでは、医療機器の名前は伏せておきます。

機器自体値段は診療費込みで10〜15万円。値段だけ聞くと、気軽に試すような商品ではないので、使ってもらうには覚悟が要る商品だと言えるでしょう。

担当者ご自身がワードで作ったデザインサンプルを見せながら、アイデアの提案も示されました。

 

イラストで分かりやすく「診察から機器を使用するまでの流れ」を説明すること。競合他社の同じ商品のリーフレットは有名なキャラクターを使って20代の若者にアピールしているので、それに対抗し、当社も若者に受け入れてもらえるようなスマホ画面をイメージしてアイコンなどを入れてかわいくすること。

イラストを使って流れを説明することもかわいく見せることも、どちらもよいアイデアです。

しかし、若者に受け入れてもらうためにスマホ画面をイメージするというのは、「若者はスマホが好き」という単純なイメージが一人歩きしてしまい、「誰に」「なぜ」「今、必要なのか」など、販促のためのデザインをする上で重要なことが考えられていないようです。少し説得力が弱いでしょう。

値段も安くはなく、先行している競合と足並みを揃えて若者全体をターゲットにするのもどうかと思います。

これらを正直にお話しし、「若者=スマホ」という方向性はなくなりました。

このように、個人の思い込みでデザインを作ってしまうと、どこか消費者との間にズレが生じてしまうと思うのは私だけでしょうか。

以前、沖縄の弁当屋のロゴをデザインした人が制作過程を説明していた記事を読みました。

デザイナーは、事前に電話で打ち合わせしたものの、「沖縄=ゴーヤー」という自分のイメージでゴーヤーをアレンジしたロゴを提案すると、却下されてしまったとのこと。

その後、沖縄まで出向き、再度打ち合わせで方向性を擦り合わせ、ロゴを作り直すと、とても気に入ってもらえたという内容です。

結果として、気に入ってもらえたので問題ないのですが、自分だけの単純な思い込みで作ったデザインを提案していることに驚きました。

これはプロのデザイナーとしてはいただけません。

「デザインしたもの」も大事ですが、なぜそのデザインなのかという、誰もが納得できる理由もデザイン同様、大切です。

理由を考え、踏まえた上で、まとめて、具体的なイメージを作り上げていくのがデザイナーなので、大変な仕事。

とはいえ、その作り上げたイメージがぴったりはまったときのお客様の喜ぶ様子を見ると、これまでの苦労を忘れてしまいます。

それが、デザイナーという職業のおもしろい点だと思います。

 

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